派遣労働者の期間延長について

年末ともなり、今年一年景気が上向きとマスコミでさかんに取り上げてはいます。また本日日銀が発表した12月全国企業短期経済観測調査(短観)によると、大企業製造業・業況判断指数(DI)はプラス16となり、前回の9月短観から4ポイント改善した。2014年3月予測はプラス14となったようです。結果2013年度大企業・全産業の設備投資計画は前年度比プラス4.6%となり、前回調査から0.5%下方修正。中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比プラス7.9%と、前回調査から8.6%上方修正となった。景気のいい話ではありますが、過日派遣労働者の期間の延長について発表がありましたのでご紹介いたします。

 

派遣仕組み.gif

上記の図は、派遣と雇用先の関係図ですが、いままで企業が派遣労働者を受け入れる期間について、厚生労働省の審議会は、一つの業務で3年を限度としていたのを見直し、何年でも受け入れ続けることができるようにする案を示しました。経済団体の代表はこの案を支持しましたが、労働者の代表は派遣の乱用につながると反発しています。これは、そもそも派遣という雇用形態は臨時的なものとして位置づけられていたものが、今後恒常的になると危惧したものだと考えます。

 

企業側と労働者側の言い分

 

                                 企     業     側

                                    労   働   者   側

  教育や育成に時間をかけることができる。 

  派遣の乱用につながる

  三年ごとに人を入れ替えなくてもいい

  正社員への登用がより少なくなる。

  派遣会社をいくつも考えなくてもいい

  一時的な働き方ではなくなる

通訳など専門26業務の廃止

他に、今回の見直しでは、通訳やソフトウエア開発、それに秘書など、いわゆる「専門26業務」の枠組みを廃止ようです。この業務は、高度な専門知識や技術が必要なため常用代替のおそれが少ないとされ、派遣期間に制限は設けられてきませんでした。現在専門26業務として働いている人はおととしの時点で64万人と、派遣労働者全体の47%を占めています。しかし、企業などから「26の業務の中にはパソコンの普及などで専門性が高いといえなくなったものも含まれているうえ、専門業務に当たるかどうか判断が難しい」といった声が上がり、廃止となることが言われています。

届け出だけでは 派遣事業はできなくなる。

労働局に届け出るだけで開業できる「特定派遣事業」を廃止し、一定の資産があり講習を受けないと開業が許可されない「一般派遣事業」に移行させることも検討されています。特定派遣事業は、派遣する労働者全員を自分の会社で1年以上継続して雇用する場合に認められますが、実際には短期間の雇用契約を繰り返したり、禁止されている建設業務への派遣を行ったりする違反が相次ぎ問題となってきました。
特定派遣事業の業者は、おととしの時点でおよそ6万3000と一般派遣事業の3倍余りに上り、そのほとんどが中小零細の業者とみられています。
 

今春、労働契約法が改正され、一定期間同一の職場で働いている方を正社員にする法律がスタートしましたが、実際はその期間が経過終了前に契約を打ち切るケースも多発、結果非正規雇用の減少には至っておりません。今回日銀が景気は明るいと発表したのですから、派遣についてもこの改正が明るい話題となるように願いたいと思っています。

 

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