内定取り消ししたら、企業の損失は倍返しではすみません

今年の新卒の採用も一段落し、企業の担当者の方や経営者の方も採用に関しては一段落だと思います。ところで「内定取り消し」という言葉を御存じと思います。以前特にリーマンショックの時に使われた言葉ですが、企業にもいろいろと経営事情があるとは思いますが、内定を取り消すには、まず正当な理由が必要です。

 

採用内定取り消しの有効・無効を判断する基準

1) 採用内定通知書又は誓約書に記載されている採用内定取り消し事項に該当するかどうか

2) 採用内定取り消し事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であるかどう    か

3) 採用内定取り消し事由が、合理的なものになっているか

4) その他、客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当なものであるか

 

以上が、有効か無効かの基準ですが、特に4)は、解雇にも適応される判断基準です。しかもこのハードルは極めて高いのです。当然学校長への連絡は必要ですし、企業のイメージの悪化は避けられないと思います。厚生労働省は、3月に大学や高校などを卒業して4月に就職予定だった人のうち、内定を取り消された人の状況をまとめています。特に悪質な場合は、内定を取り消した企業のうち、2社については企業名も公表します。内定の取り消しや入職時期の繰り下げを行う場合、事業主はハローワークに通知する必要があり、今回はその状況をまとめたとのことです。企業名の公表については、内定取り消しが「事業活動縮小を余儀なくされているとは明らかに認められない」などの場合に、求職活動をする学生の適切な職業選択に役立つよう、厚生労働大臣が実施しています。(「職業安定法」施行規則)

新規採用.png

 

企業は、人がいなければなりたちません。人を採用することは当然リスクでもあります。秋に、政府は解雇特区等も模索していましたが、今回は、反対にあい見送ったようです。これは、日本はアメリカの採用方式が異なり、通常新卒一括採用を主としています。それは戦前からの日本固有の終身雇用と教育訓練からのものです。これを行うことにより配置転換も可能となり、社内で経験を積み戦力とする。これが基本構想だったはずです。しかし、それが崩れ 結果非正規雇用を増加させ年金を支払わない世代が増加、社会保障制度にも影をおとしています。今これを解決する手段は、どうやら消費税の増税となったようですが、少なくとも新規採用の取消は、その企業の問題だけでなく社会全体の負の連鎖になっていることだけは間違いありません。

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